いいかげんなイタリア生活

「いいかげんなイタリア生活」というタイトルで、初めての本がでました。

いいかげんなイタリア生活 - イタリア在住15年の私が見つけた頑張りすぎない生き方 -

うまくいかなかったり、いかなかったり、いかなかったり…(100回繰り返す)、突然うまくいったり。またうまくいかなかったり。

そんな15年の生活をぎゅッと入れた本です。キラキラともセレブライフとも程遠い、地味イタリア生活です。でもかなり楽しくやってます。

なかなか旅行に行けないですが、旅行がわりにイタリア生活を垣間見ていただけるとうれしいです。

ワダ シノブワダ シノブ(著/文)

発行:ワニブックス

A5変型判  144ページ
定価 1,200円+税
ISBN978-4-8470-7216-1 
ISBN 13 9784847072161 
ISBN 10h 4-8470-7216-2 
ISBN 10 4847072162 
出版者記号 8470   

7/25に発売した「いいかげんなイタリア生活」から一部を公開しています。

「イタリア人の主人公メンタル」

日本に住んでいた頃、 ランチのときにバラを一輪もらったことがある。 夫と結婚する前、 彼が夏休みで日本に遊びに来ていたときの話だ。

当時の私は派遣社員だった。 一緒にランチをする約束をしていたので、 12 時に会社の入り口まで下りると、 そこには半パンにユニクロのジャパンお土産 T シャツという、 いかにも観光客という姿をした彼が、 セロハンに包まれたバラを一輪持って待っていたのだ。「 イメージ通りのイタリア人だ!」 と、 思わず笑ってしまった。 だって映画や韓国ドラマでしか見たことがないような、 会社に花を持ってくる恋人が目の前に現れたのだから。 ロマンチックとはいえ、 実際に花をもらうと「 午後の就業時間中、 この花をどこに置いておこう?」 と困り果て、 そっとロッカーにしまった。

夫も含めて周りのイタリア人たちは、 自分を主人公だと思って生きているふしがある。 それどころか「 世界の中心は自分」 くらいに思っていそうだ。 主人公の自分がどう感じているかを一番大事にしている。  

もちろん相手のことも考えてはいるが、 必要以上に推測しすぎない。 自分がやりたくてやっているから、 素直に愛情を表現できるのだ( やりたくないときは 1 mm もやらないから困ることもあるけど)。

夫の父も、 愛情表現に独自のルールを持っていた。 彼は妻に誕生日プレゼントを贈ることが好きではなかった。「 プレゼントを見つけたらすぐにあげたい。 わざわざ誕生日まで待つのが好きではない」 と言うのだ。 彼にとっては、「 妻に似合いそうな素敵なものを見つけたとき」 がプレゼントを贈るときだ。 だから、 よくちょっとしたものを見つけてはプレゼントをしていた。  

彼のような自分の気持ち中心の、 主人公らしい生き方からほど遠い私は、 愛情表現が苦手だ。 相手に気持ち悪いとか、 重いとか思われないか不安になってしまう。

離れて暮らす母に電話くらいはできるけど、 友人には気軽に LINE もできないし、 急に「 声が聞きたくて」 と電話するなんて、 ハードルが高すぎて無理だ。  

イタリアが主人公として育つ場所なら、 日本で育った私は「 主人公に迷惑をかけないように」 という、〝 脇役気分〟 で生きてきたのだろう。 相手に気をつかい、 言われなくてもわかっているふりをして、 空気を読みまくっていた( イタリアの人ももちろん空気は読むが、 プライベートでは場の空気よりも自分を大切にすることが多い)。  

そんな脇役育ちの私だけれど、 イタリアで暮らすようになってからは、 少しずつ変わり始めている。 みんなが主人公でも生きていけると学習したからかもしれない。 電話やメッセージで愛情表現する回数も増えている。  

私がしたいからする。 起点はいつも私だ。 それ以上、 考えすぎない。 私が誰かのことが気になっているのなら、「 気になっているよ」 と声をかける。 もし、 予想外の反応がかえってきても気にしない。 だって、 相手も相手の人生の主人公なのだから。 脇役から主人公になるべく、 日々の修行は続いている。

日本に帰っていたとき「イタリアの方がいいでしょう」と何度も聞かれたのですが。本当に比べるのは難しくて。どっちもいい。どっちも悪い。

足して二で割った場所にならないかなぁとずっと思っています。あと飛行機5時間くらい(実際は13時間)の場所にあればいいのに日本。


イタリア生活とか料理とかあれこれ書いています。

ぜひお手に取ってみてください!

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